Darkest White
家に着けば、無言で光は車を降りる。ドアを開けて待ってくれているくせに、わたしが降りればさっさと家に入ってしまう。
玄関のドアまで開けて待っているほど彼は紳士ではない。
いつもと変わらないこの大きな豪邸。誰もいない不気味な空間も、今は少しだけなじみ深いものへと変わっていた。
夜ご飯は、大抵わたしが作っている。光たちは食事は今まで不定期だったらしい。だけどわたしが料理をすることによって、三人で集まる時間が増えた。
それはいいことだと、わたしは思っている。
「んん!今日もうめえなあ!」
岬は大喜びでわたしの天丼を頬張っている。わたしはやっぱり食欲がなくて、少ししか盛っていない。
最近疲労が増していて、笹原さんからの電話をきっかけに、どんどんと体調不良が増えてきていた。
やっぱりどこへ行っても、わたしは逃れられないんだって心底感じた。
「おい。」
光の声が耳に届いて顔を上げる。
「お前少なくねえか?」
「え?あ、いや、今日お昼多かったし。」
光は冷めた視線をわたしに送る。
この瞳が怖いんだ。
「何食べたんだ?」
「あ、っと…その、唐揚げ弁当。」
よく思いついた自分!!
「なのにまた揚げ物作ったのか?」
光は鼻で笑った。
「そ、そお。間違えた。ははっ。」