Darkest White
「光の…バカ。」
なにカッコつけちゃってるの…なに、ときめかせられてるの、わたし…
ダメなのに…。
岬の底なしの小枝色の瞳が脳裏に反射する。
眉根を寄せてわたしを軽く睨む光に、わたしは小さく苦笑を返した。
「光もさ、わたしとおんなじ高校生なのにね。」
なのに、光はこんなにも余裕なんだ。仮にも同い年の女子と同居して、二人で、で、で、でーとして、
「なに言って、」
「ばーーーか!」
わたしは光を無視して助手席に飛び込む。
悔しい。
悔しくて悔しくてたまらない。光はずるい。わたしをこんなにしておいて…余裕こいてこんな豪邸にいて…同い年なのに光はわたしを養う側の人で…っ
ずるい。
「んだよお前。」
イライラしながら光がハンドルを握る、「…変な奴。」
「あー!今変なやつって言ったでしょ!」
「地獄耳ババア。」
「ああーーっ!!」
「黙れうっせえんだよ。」
光が耳を片手で塞ぐ、「運転してんだよこっちは。」
「むううう。」
わたしがそっぽを向けば、小さな笑いが聞こえたような気がした。
「お前といると、俺が俺じゃねえみたいだ。」
トクン。また一つ、きゅんと音を立てる。わたしがいるから?わたしだけ…?