Darkest White
「っ、こ、お…、!!」
少し乱暴に腰を引き寄せられてわたしは固まった。
甘い香りがほおをくすぐって、力強い腕がギュッと背後からわたしを抱きしめている。
耳にかかる吐息に心臓が一気に加速する。
「震えてる。」
まるで温めるようにわたしの腕を骨ばった手でさする。
「怖えか?」
「っ…ぅううん。」
光なら怖くなんかない。
「…そうか。」
人の温もりがこんなにも心地よいなんて知らなかった。今ならきっと自信を持って言える。光が、わたしが誰よりも身を委ねたい人だって。
「ほんと…ちっちぇえな。」
胸の底が疼く。
「こんな体で……よく頑張ったな。」
ぐっと奥歯を食いしばった。その振動が伝わったのか、光が腕に更に力を込めた。
光になら壊されたって構はない。
光の手が腹の辺りに当たって、わたしはおもわず膝から崩れ落ちた。
消してよ。
この跡、消えてよっ…
過去を全部白紙にして、光に出会いたかった。