Darkest White
「わたしのこと何も知らないくせに!!!本当に悲劇ごっこしてるのはあんたでしょう??何も言わないで一人ぼっちでいるあんたこそ、同情してもらいたいんじゃないの?違う??」
違う、こんなことが言いたいんじゃない。
光が言ったことが図星だから、素直に頷けばいいのに。
言いたくもない、汚い言葉が次々と出てくる。
「黙れ!!!!」
「だから、」
「知ったこと言ってんじゃねえ、」
「そうやって!!!」
ダメ、ダメ、言ったらダメ!
「人との間に壁を作って、立ち入らないようにして、」
違う!こんなわたしも拾ってくれた、心の広い人なのに。
「仲間を持たないようにしているあんたの方が、わたしよりもずっとかわいそうだよ!!!」
きっとこれがわたしの素顔なんだ。
罪を背負って、ひねくれて、なのに幸せを掴もうとしたわたしへの神様の罰なんだ。
一瞬でも恋したわたしがバカだった。
ごめんなさい、ごめんなさい。
笹原さんを裏切った。
お母さんを裏切った。
光を裏切った。
そんなわたしからは、泥のような言葉しか生まれない。
「人に自分のことは何も教えられない!!教えるのが怖い!!
名前さえも言えない!
そんなあんたがわたしは一番嫌いだ!!」
「…………出てけ。」
「っ…。」
光の顔を見るのが怖かった。
わたしは下着姿のまま、お風呂場を駆け抜け、何も持たずに豪邸を駆け抜けた。
外は雨だった。
そこは、名前も知らない、見知らぬ土地だった。
水たまりに映るわたしは、哀れだった。
水にしみた下着は透けていて、張り付いた奥に、青黒い跡があった。
傷つけるつもりじゃなかったんだ。