Darkest White
どこかで聞いたことがある。
犯人は口を揃えて、『殺すつもりじゃなかった』と、答えるって。
わたしはきっと、立派な犯罪者だ。
膝から崩れ落ちれば、硬いコンクリートに血がにじむ。
こんなわたしにも、思い描いた夢がある。
それは、大好きなお母さんとお父さんの元に生まれて、誕生日パーティーをして、一緒に遊園地に行ったりしちゃって。そして学生になったら受験勉強をして、夏休み中に親にゴロゴロするな!って怒られたりして。そして好きな人ができて、カレカノになったりして。だけどそしたらお父さんが彼氏に嫉妬して怒ったりしちゃって。そして大学生になって就職して、結婚するんだ。子供が生まれて、孫だよっておばあちゃんとおじいちゃんになった両親に見せにいくんだ…そしてわたしの花婿さんは…………
あいつしか、いないんだ。
頰に雨粒よりもずっと温かい何かを感じてわたしは瞬きをした。
「…泣い…て、る?」
目尻をこすれば、もっともっと零れ落ちてくる雫たち。
塩辛かった。
光との幸せな未来を思い描いて、わたしは初めて泣いた。