Darkest White
だけど何も感じない。
そろりと目を開ければ、変な顔の光がいた。
そして次の瞬間…
「ぷはっ!」
目を細めて光が笑い出した。
もしかして……
「っ…!」
わたし、からかわれた…?
かあーっと恥ずかしさで顔が真っ赤になる。でも…っ、
「っ…。」
「はははっ!」
だけど…それよりも…
「…笑った!」
「ははっ、あ?」
「光が笑った!」
わたしは思わず両手で光の頬を包み込んだ。光の瞳が大きく見開かれる。
「光が笑ってるっ…!」
ー光が笑ったことの方が、わたしにとっては重大だったんだ。
思わずギュッと光に抱きついた。甘い香りが鼻を掠めて、光が大好きだって身体中が叫んでた。痛いくらいに嬉しくて、弾けそうなくらい苦しかった。…ずうっとこうしていたかった。
「…、凛?」
光の戸惑ったような声が聞こえるけど、わたしは離さなかった。
いっつもいっつも余裕な光がずるい。一度くらい、困った光が見てみたいな。
「笑った光、大好き!」
体を離して、ぱあっと微笑みかければ、光の顔を見る間もないくらい、いきなりボフッと頭を胸に押し付けられた。
「えっ、こ、こお…っ?」
そのまま光の厚い胸板で目隠しをされた状態のまま、わたしはベッドに降ろされた。
「…どしたの?」
でもね、わたし気づいちゃったんだ。
顔を背けている光の耳が、赤く染まっていることに。