Darkest White

「あっそ。」

ツンとした態度を醸し出しながら、そっぽを向いてしまった彼女。

窓から差し込む光で透き通るように輝く金髪に、思わず息を飲む。


「…地毛?」


「当たり前じゃん。バーカ。」


初対面なのに素晴らしいほどむかつく態度。

拍手を送りたいくらい、この藤堂って人、人を怒らせる魔法を持っているみたい。


「…綺麗。」


思わず口に出してしまい、ハッと顔を上げる。

わたしってば…この人といると自然体の自分になっていることに気づき、少しだけ怖くなる。

この私立校でうまくしていくには…まずは笑顔で初心い『凛ちゃん』を演じないといけないのに…早速空回りしているからだ。

ヤンキーと絡んだら周囲の目はわかっているのに…どうしてこう、最初からこの人と隣になるかなあ…やっぱり私ってついてないわ。


すると、わたしの『綺麗』、に対してなぜだか嫌そうに目を見開く藤堂…って人。


「は?」

「え?」


あーダメ。イライラしちゃう。


「キレーとかそーゆーお世辞、聞き飽きた。なに?あんたも私のご機嫌とりたいって?好きにしろ、バーカ。」


カッチーン。

はーい。久しぶりに、七瀬凛、結構頭にきております。

夢の高校初日早々。


史上一番…いや、二番目にイライラする人と隣になりました。


< 193 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop