Darkest White
「あっそ。」
ツンとした態度を醸し出しながら、そっぽを向いてしまった彼女。
窓から差し込む光で透き通るように輝く金髪に、思わず息を飲む。
「…地毛?」
「当たり前じゃん。バーカ。」
初対面なのに素晴らしいほどむかつく態度。
拍手を送りたいくらい、この藤堂って人、人を怒らせる魔法を持っているみたい。
「…綺麗。」
思わず口に出してしまい、ハッと顔を上げる。
わたしってば…この人といると自然体の自分になっていることに気づき、少しだけ怖くなる。
この私立校でうまくしていくには…まずは笑顔で初心い『凛ちゃん』を演じないといけないのに…早速空回りしているからだ。
ヤンキーと絡んだら周囲の目はわかっているのに…どうしてこう、最初からこの人と隣になるかなあ…やっぱり私ってついてないわ。
すると、わたしの『綺麗』、に対してなぜだか嫌そうに目を見開く藤堂…って人。
「は?」
「え?」
あーダメ。イライラしちゃう。
「キレーとかそーゆーお世辞、聞き飽きた。なに?あんたも私のご機嫌とりたいって?好きにしろ、バーカ。」
カッチーン。
はーい。久しぶりに、七瀬凛、結構頭にきております。
夢の高校初日早々。
史上一番…いや、二番目にイライラする人と隣になりました。