Darkest White

そういえば…前にも光に同じようなことを言われたことがある。


お前、泣かねえんだな、って。


どうしてか光と藤堂恵を重ね合わせて見てしまっていた。


この不器用で、どうしようもないほど人をイラつかせるところ。だけど、まっすぐで、私には持っていない、嘘のない眼差し。


ああ…わたしはきっと、こういう人に焦がれるんだって思った。


こういう人になりたいんだって。



「藤堂恵。」


「は?」


「面白いね、あんた。」


「なに?スカウト?」


冗談なのか真面目なのか、嫌そうに顔をしかめる彼女。


「私の友達に任命する!」


「はあ?」


「凛。そう呼んで。恵って呼ぶから。」


「いや、許可出してねーし。」


「じゃあ、そういうことだから!じゃあね!また明日!」


多少強引に友達になった、藤堂恵こと恵。


だって今を逃したら、もう恵の心は掴めないって思った。


直感だけど、恵は常に心変わりする風のようで、過ぎ去っていってしまったら、もうわたしの元へは来てくれないような…どこか寂しい何かも感じ取ったんだ。



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