Darkest White
「凛…!」
大好きな声が聞こえて、廊下で足を止める。
振り返れば、大好きな君が私に向かって歩いてくる。
いつも家で見る姿とはまた違って、新しい光を知れたみたいでわたしの血がさわぐ。
高校生に囲まれて、キラキラしている中を堂々と歩く彼は、やっぱり輝いて見えた。
心なしか周りの生徒のひそひそ声が聞こえてくる。生徒の動揺が波になって伝わってくるような気がした。
「あの子…だれ?」
「知り合いかな…。」
「今、よびすてしてた…?」
いろいろな眼差しを感じる。
好奇。
嫌悪。
尊敬。
恐れ。
やっぱり光は普通の人とは違うんだって、改めて感じた。
それとと同時に、こんなにすごい人の隣にわたしがいてもいいのか、不安が大きくなった。
こんなにボロボロで、光もない、ただの少女。
そんなわたしに、彼に名をつけともに生活する権利など、そもそも存在するのだろうか。
光は何も言わなかった。ただわたしの顔を見て、安心したように小さく口角をあげた。この顔に、わたしはそそられるんだ。
「帰るか。」
小さく頷いて光の後を続く。
甘い香水の香りが鼻をかすめる。大好きな光の匂い。
それだけで、安心するんだ。