Darkest White
「あっ、あそこ!あそこがいい!」
商店街の突き当たりにある少しだけおしゃれなお店。今日学校の誰かが話していたイタリアでできた有名なアイスクリーム屋さん。
テレビでも取り上げられたほど人気らしい。わたしの知らない女子高校生の青春の場所、みたい。
ただ問題は…。
「キャー!」
「待って、めっちゃかっこよくない?」
「誰あれ!」
………女子が多いことです。
「なにしてんだよ、座んねーのか?」
ガチガチに固まってるわたしを怪訝そうにみやり、店内の奥の方へずかずかと歩いていく光。
やっぱし…無自覚。
もっと渋い居酒屋とかにしておけばよかったのかな…。
でも後悔しても時すでに遅し。
「これとかいいんじゃねえのか?」
光は適当にメニューを見やっている。
それにしても、こんなにかわいいお店に光がいるなんて…超貴重!
やっぱり、食べに行きたいって言って正解。
アイスクリームはあまり胃にもたれないし、ちょうどいい。それに最初の頃二人でアイスクリーム食べに行った時、光もなんだかんだいいながらすごい幸せそうにほおばってたから…あの時の光、もう一度見たいって思った。
だけどそんな時…
「もしかしてあの人、。」
「WONDERの…。」
え?
ちらっと後ろを見れば、意外にも年配な女性二人組が座っていた。
わ、んだー…?
「しっ。その名前が人様の耳に入ったら、ちょっと。」
「あら、ごめんなさい。確かにね。」
そう言って二人の会話はそこで別の話題へと移って行った。だけど…WONDERって…?
今の二人、絶対光のことみて…いってたよね?
光は気づいていないのか、抹茶あんみつパフェとマンゴーパフェをなにやらぶつぶついいながら見比べている。
聞いてはいけない内容。40代後半にも見えた二人があんなにも気を遣いながら話していたWONDERって…?