Darkest White

「あっ、あそこ!あそこがいい!」

商店街の突き当たりにある少しだけおしゃれなお店。今日学校の誰かが話していたイタリアでできた有名なアイスクリーム屋さん。

テレビでも取り上げられたほど人気らしい。わたしの知らない女子高校生の青春の場所、みたい。

ただ問題は…。

「キャー!」

「待って、めっちゃかっこよくない?」

「誰あれ!」


………女子が多いことです。


「なにしてんだよ、座んねーのか?」


ガチガチに固まってるわたしを怪訝そうにみやり、店内の奥の方へずかずかと歩いていく光。

やっぱし…無自覚。

もっと渋い居酒屋とかにしておけばよかったのかな…。

でも後悔しても時すでに遅し。


「これとかいいんじゃねえのか?」


光は適当にメニューを見やっている。

それにしても、こんなにかわいいお店に光がいるなんて…超貴重!

やっぱり、食べに行きたいって言って正解。

アイスクリームはあまり胃にもたれないし、ちょうどいい。それに最初の頃二人でアイスクリーム食べに行った時、光もなんだかんだいいながらすごい幸せそうにほおばってたから…あの時の光、もう一度見たいって思った。


だけどそんな時…


「もしかしてあの人、。」

「WONDERの…。」


え?

ちらっと後ろを見れば、意外にも年配な女性二人組が座っていた。

わ、んだー…?


「しっ。その名前が人様の耳に入ったら、ちょっと。」

「あら、ごめんなさい。確かにね。」


そう言って二人の会話はそこで別の話題へと移って行った。だけど…WONDERって…?

今の二人、絶対光のことみて…いってたよね?

光は気づいていないのか、抹茶あんみつパフェとマンゴーパフェをなにやらぶつぶついいながら見比べている。

聞いてはいけない内容。40代後半にも見えた二人があんなにも気を遣いながら話していたWONDERって…?

< 200 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop