Darkest White
ガクンと、
まるで悪の魂が抜かれたみたいに崩れ落ちた光に引きずられるようにわたしも膝をつく。
肩で息をする光の顔は見えない。
だけどフルフルと震えてた拳は、だらんと床についていた。
「こお…っ。」
反応はない。
「光…わたしがっ…あんたを助けてやるんだから…っ。」
「……っ。」
「光がわたしを救ってくれたの…っ、頼ってよ。もっと、頼らなきゃダメでしょ!」
その言葉、光に届いたかな。
一匹狼なんか私が許さないんだから。
ぐしゃぐしゃになった彼の頭をぎゅっと抱きしめた。汗でびしょびしょになったその髪に、思わず涙がこぼれそうになった。
こんなになるまで……ずっと、溜め込んでたんだね。
完璧に見えてきっとあなたは不器用で、気持ちの表し方がわからないんだ。わたしにそっくりだよ、光。
少しずつでいい。わたしに心を開いて、重荷を半分わたしに貸してよ。
「光っ…わたしに出会ってくれて、ありがとね。」
そう伝えれば、いきなりわたしの腕を引いた光。
「わっ…!」
スポッと光の胸の中に収まる。
さっき暴れたせいか、鼓動が速い。汗ばんだその胸はお日様の匂いがした。
するとその瞬間に、ちらっと赤い首元が見える。
「っ、怪我してるよ!」
そう言って慌てて立ち上がろうとしたけれど、その反動でもっと強く抱きしめられたわたし。
どくどくどく…心臓の高鳴りは止まらない。
「行くな……頼む…今だけだから……行くな。」
いつもよりもずっと心細げなその声に、思わず視界が潤んで力が抜ける。そんなわたしを割れ物みたいに、そっと優しく包み込む光。
光の膝の上で、赤ちゃんみたいに抱きしめられているわたしは、なぜだかすごく安心した。小さい頃お母さんに抱っこしてもらった感覚と似ていて、静かに頬を濡らす。
ねえ…あなたは今どんな気持ちでわたしを抱きしめているの?
わたしは……涙が出るほど切なくて、温かい気持ちだよ。