Darkest White
「誰?」
「だからー」
「ベッドインはしたのかよ?」
授業中なこともありひそひそ声でしゃべるわたしに全く合わせる気がないのか、彼女のトーンは普段と変わらず教室に通る。
こういう時だけ彼女の凛とした声を憎みたくなる…というか彼女の性格自体を憎みたい……。
「うるさい……!」
「あ、したってこと?」
「だからあ!」
思わず声を上げるわたしに再度みんなの視線が集まる。
今は受験シーズン真っ只中。ピリピリとした空気に不釣り合いなわたし達。
恵は大学へ行く気がないらしく、受験なんて考えてもいない。そしてわたしも……同じだ。
「フッ。」
そんな時、小さく口角を上げて笑う彼女に惚れてしまいそうになる。なんてまあ素晴らしいお顔で生まれてきたことか……
軽くそこらへんのモデルの容姿を超えている。
…ギャルじゃなかったらなあ…もっとモテただろうに。
「で?」
恵は呆れたように問いかける。
「で?」
おうむ返しをするわたしにもう一度舌打ちをする恵。
「どこにいんのよそいつは。」
「どこって…。」
「この学校?」
「え、いや、…。」
ここは否定するべかのか。でも別に嘘つく必要もないわけだし…。
「まあ…。」
「ふーん。」
すると彼女の中で何か解決したのか、それっきりわたしの恋愛事情に興味を示さなくなった。
いや…なんか逆にさみしいよ、うん。