Darkest White
「ウソつき。」
もう、騙されない。
「岬はいつも嘘ばっかり。」
岬の目が僅かに揺れる。
「ウソついたって、真実は消えないよ?」
岬の無表情から読み取れるものは少ない。
「光は…そんなことしない。お日様みたいに明るくて、繊細で、全部を抱え込んじゃう、優しいやつなんだから。そんなウソ、もうわたしには通用しない。」
だってもう知ってるんだもん。
虐待を受けていたわたしを拾ってくれて、
温かい気持ちを教えてくれて、
ずっと側にいてくれていて、
だけど実はずっと何か辛い思い出を引きずっていて、
どうすればいいのかわからなくて壊れてしまいそうなほどギリギリまで追い込まれている人だって。
わたしを救ってくれたのに、自分は救うことのできない、どうしようもないほどバカなやつで。
わたしをここに置いておいてくれているのは、利用とか殺すとかそんな奥深いものじゃなくて…っ
あいつがバカでバカで、死ぬほどバカで単純で、
辛いほど優しいやつだからなんだって。
「岬は何を抱えてるの?」
もう、怖くない。
光の勇気と愛情は、わたしに強さをくれたから。
「ふーん。」
岬は面白くなさそうにわたしを覗き込む、
「で、好きになったと?」
「は?」
「光に一途にならないほうがいいよ?なんだったら、」
ーチュッ
「意識を他に向けないと、壊れるのは君だからね?」