Darkest White
「光、誕生日って冬?」
「あ?」
「だって光、冬が似合うから。」
そう言って小さく笑えば、光は少しだけおかしそうにクスッと口元を緩める。
「変わったやつだな、お前は。」
「で?冬なの?」
「いや、わかんねえ。考えたこともなかった。」
「えっ、誕生日を…?」
「ああ…そんなに大事か?生まれた日にちなんて、どうでもいいだろ。」
「…じゃあ、光は冬生まれってことね!12月24日生まれ!」
「好きにしろ。」
「って…、あれ?今日ってクリスマスイブじゃん!」
わたしってば、どうしてこんな重大なイベントを忘れていたのだろう!雪が降るのも納得がいく話だ。
サンタさんが来る前日だもの。
「今日の夜はどこか行くか。」
「えっ…本当に?!」
「ああ。いやか?」
「う、そんなわけないじゃん!行く!行く!」
「ハハっ、じゃ、帰り迎えに行くから待ってろ。」
そう言って手を振る光に、わたしも両手で振りかえす。
微かに笑った光のその姿は、白い雪の世界に溶け込まれていく。
光の赤いマフラー越しに見る彼は本当にかっこよくて。
今日この日、クリスマスイブの朝、パラパラと舞う粉雪の中で笑い合ったこの思い出。
きっとずっと忘れない。
光と過ごす毎日が、わたしにとっては新しい思い出作りだから。
『今まで作れなかった分、俺と作ればいい。簡単なことだろ?』
そう、光は言ってくれたから。