Darkest White
「恵〜!」
ガヤガヤと早朝から騒がしい廊下のど真ん中を、金色の髪を揺すりながら歩く一つの後ろ姿を見つけて、わたしは先生の注意を背後にダッシュする。
「めーーーぐっみ!」
ボフッ!
大好きなその背中に抱きつけば、「だりいだりい、どけ。」なんて声がくぐもって背中越しに聞こえてくる。
ふわっと香るのは、少しキツめの蜜柑のような匂い。
大好きな親友の彼女は、ツンデレ代表。いや、ツンしかないかも、かもだけど!
ズンと顔を前に回せば、眉間にしわを寄せてわたしを見下ろす藍色の二つの瞳と視線が交差する。
「ご機嫌よろしくて、!」
ペシッ。
「いっだあい!」
額を軽く叩くと、恵はくいっと口角を上げる。
「ざまあ!」
そう言ってうしし、なんて笑いながら教室に入っていく恵は悪魔である。
「もおお!恵!」
だけどわたしはこんな彼女を溺愛しているのであります。