Darkest White
わたしのお昼休みは、空き教師で熟睡する恵の横で静かに購買で買ったパンやご飯を食べる習慣になっている。
今でも光に申し訳なくて、食費はなるべく自分の貯金から使っている。コンビニでのバイトは辞めたし、光の職場でのバイトもチャラになっている今、わたしは結構勉強に費やす時間が増えてきていた。
「……この公式が…ここに入って…あれ、ん?わかんない…。」
ジャムパンを頬張りながら数学の公式とにらめっこをするわたし。今までのわたしとは無縁だった勉強というものに、なぜだか没頭してしまったわたし。
学ぶって楽しいんだよね。
「で……xイコール…y?いや、…。」
「……数学…嫌い…。」
恵の寝言はスルーとして…
「ああ…理解、理解。」
公式を理解してすっきりしていると、ガラッと空き教室の扉が開く。
「あ…。」
黒い艶やかな髪の奥から覗く三日月型の瞳に吸い込まれそうになって息を飲む。
レンズの奥からわたしを見ているかのようにわたしを捉えると、サッと踵を返して部屋を出て行こうとする彼女。
「…あ、あの!」
思わず声をかけてしまい、しまった、と思う。
無視されたばかりなのに、また、声かけちゃった。
彼女は聞こえているのかどうなのか、わたしに気を止める様子もなく廊下を歩いていく。
慌てて後を追うものの、彼女は振り向くそぶりすら見せない。
近づくと意外にも彼女の身長が高くないことに気づいた。
相当スタイルいいんだな…