Darkest White
……。
「不幸じゃないよ。」
いつの間にか唇がそう言葉を綴っていた。
「不幸だった、だけ。」
そう伝えると彼女はうっすらと浮かべていた微笑を消した。
「だったら尚更関わんな。闇、もう一度見たくないなら、近づかないで。」
衝撃が腹底を走った。
闇を、もう一度見たくないなら、近づかないで…なんて、どうしてそんな悲しいことを彼女はえるのだろうか。
まるで彼女自身が闇の塊かのように、そんな風に語る彼女が、すごく寂しく見えた。
「大丈夫だよ。」
「……。」
「闇、見ないから。」
そう言って小さく笑えば、彼女は凍てついたような眼差しでわたしを見やる。
そして口を開きかけたけれど、結局何も言わずに背を向けた。
今度は、わたしも追わなかった。