Darkest White


「ドライトマトとカシュナッツのバルサミコ和えでございます。」


目の前に現れたプレートにお腹が少しだけ音を立てる。

な、なにこれ…。


「い、ただきます…。」


おそるおそる顔を上げれば、光がん、って頷く。


「いただきます。」


口の中でシャキシャキと音を立てるレタスと柔らかいドライフルーツが絶妙な歯ごたえを生み出していて、やっと緊張がほぐれて朴が緩む。


「…やっと、笑った。」


わたしは思わず光を凝視する。


「食べてるお前を見るだけで腹一杯だ。」


……どうしてか、そのあと口に運んだサラダの味は何も覚えていなかった。






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