Darkest White
普段と変わらず騒がしい教室へ足を踏みれれば、黒い髪と前髪と触角をつけたたくさんの同じような容姿の生徒の間から、金髪でストレートで前髪なしの頭を発見する。
「おっはよー!」
そんなわたしをみんながちらちらと盗み見ているのを背中で感じる。今では定番にわたしに降り注がれる、この好奇やら嫉妬やら恐れを含む多くの視線。最初は気にしていたけれど、今では正直もうどうでもいい。
まあこれらの原因は、きっとわたしが向かっている方向にいる彼女と、五クラス離れた場所に在籍中(いるとはいっていない)の彼にあるのだろう。
まあ、要は、目立ってるってことだ。
「恵、今日体育だよ。なんでまだ着替えてないのー?」
嫌々ながら立ち上がる彼女は、体育なんて意味ないのにハゲ先生、なんてぼそぼそつぶやいている。
「あれ、ピアス開けた?」
「まあ開けたっていうかもともとあいてた所に入れただけだけど。」
校則違反なんだけど…なんて言ったらキレそうだからやめておこう。
「そういえば、今日珍しく川島花蓮きてるよね。」
そう言う恵に腕を引っ張られ教室を見渡せば…
「本当だ。」
隅っこの席で絶賛睡眠中の彼女がいた。
なんか川島花蓮と恵、似てないようで似てるようで…似てないようで似てるようで…
「似てねーから。」
わたしの心を読んだかのように眉間にしわを寄せる彼女。まあ、川島花蓮を良く思ってないのは明らかだ。
だけど嫌う理由もないわたしは、どちらかというと彼女に興味がある。彼女はどこか人を惹きつける何かを持っている。
「寂しそうな雰囲気からかな…。」
独り言のつもりが思いっきり口に出ていて慌てて口をつぐむ。
そんなわたしを見て、恵は少しだけ困ったように口角を上げた。
「そうかもな。」
でもわたしが川島花蓮をこんなにも気にするのには…
やっぱり彼が絡んでいるからなんだ。
わたしの生活ってきっと、彼中心に回っている。
今までとはだいぶ…だいぶ違う。