Darkest White
「お母さん…あの、お仕事どうだった?」
お母さんの前に茶色い椅子を引いて座る。
「普通。」
お母さんはビールを一気飲みすると立ち上がる。
眠たそうに目をこするお母さんの様子からして、きっともう寝るのだろう。
「おやすみ!」
大好きなお母さんに笑いかければ、少しだけ目尻にしわを寄せて微笑んでくれた。
「おやすみ。」
わたしはお母さんが部屋を出て行くと、お母さんが座ってたソファに座ってみる。
甘い香りが鼻をかすめ、ぬくぬくとソファで眠たくなる気持ちをたたき直すように時計に視線を向ける。
「睡眠4時間半か…。」
バイト行かなきゃなあ…
わたしは玄関にある赤いハイヒールをチラッと目にしながら、
無意識に起きた時に畳んだらしい洗面台の上に置いてある制服とコートに着替えると家を出た。