Darkest White
「その…来てくれてありがとね?」
「なんだ、そんなかしこまっちゃって。…それにしても、凛ちゃんも大人になったなあ…前よりキラキラしてる。」
眩しそうに笹原さんんは小さな目を細めた。
その顔は、さっきコンビニから出てきた父親が子供を見ていた表情にとても似ていた。
「なにそれ、変なの!」
「あはは、そうかもしれないな。…僕も、年をとったのかな。」
どうしてか切なくなって唇を噛む。
笹原さんはこの前会った時よりも、一回り小さくなっているような気がした。
「ね、ねえ、公園に行こうよ!」
「ははっ、それは日本でなくてもできるだろう?」
「で、でも!小さい頃行った東公園よっちゃダメ?そのあとはどっか別のところ行こうよ!」
「まあ、良い思い出になるかもな。行こうか!」
どうして時間は過ぎてしまうんだろう。小さい頃のあのまま、一ミリも時計の針が動かなければよかったのに。それだったら、わたしはずっとあのまま、大好きな二人に囲まれて幸せに暮らせていたのかもしれない。
幼稚園だった頃、笹原さんの背中はとても大きく見えて、その背中に飛びつくのが大好きだった。
だけど今では、前よりもずっと小さく、弱く見えた。
それを認めたくなくて、わたしは大きく首を振った。
「凛ちゃん?」
「ううん、なんでもない!」
今までずっと、ありがとう。
そう、その大好きなあなたに心の中で小さく伝えてみた。
気恥ずかしくなって、わたしは慌ててもう一度彼の後をおった。