Darkest White

悪魔に呪われた家に背を向けて歩き出した時、熱い涙がとめどなく頰を伝ってどうしようもできなかった。


「…っ、どうして…」


どうして。


それはわたしに人生に対しての問いかけ。


どうして父はわたしたちを置いていなくなってしまったの。


どうして笹原さんがわたしのお父さんになってくれないの。


どうしてお母さんは浮気してるの。





ーどうして…っ、どうしてあの人がわたしを殴るとき、お母さんは止めてくれなかったの?





笹原さん、お母さんのオムライス楽しみにしてたのに。


本当はいつもわたしが作ってたオムライスだけど、それでもっ、お母さんの料理が美味しいって、あんなに褒めてくれる人はいないのにっ…どうしてそれがわからないの。


どうして笹原さんを裏切るの。





どうしてわたしを裏切ったの…?






笹原さんにはもう会わないし、二人にはもう迷惑はかけないっ…っ


だから、だからっ…


どうか笹原さんを幸せにしてあげて。


わたしがお母さんの嘘に付き合って笹原さんを裏切ったのも、お母さんを信じていたからだったの…っ


いつかはこっちを向いて、わたしのことが大好きだって、昔みたいに言ってくれるかもしれないって思ったから、お母さんに付いてきたの…


でも、もう…

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