Darkest White

「私普通だったらこんなこと教えないの…でも、あなたがまだ天馬の家にいるっていうのが引っかかって…」


鈴葉さんは浅く息を吸うと私を見上げた。

どこか狂気さえ感じられるほどゆがんだ眼差しに鳥肌が立つ。


きっと私はもう、後戻りできないところまできてしまったー



「花蓮は過去に…兄から暴行を受けていた。」


暴…行…?


「それも…性的暴行だった…。」


鈴葉さんの声が震える。

川島花蓮が…お兄さんから性的虐待を受けていた…


その事実が衝撃で、心臓が動きを止める。


彼女の人を寄せ付けない瞳が脳裏でちらついて、体の細胞が一つ一つゆっくりと、でも確実に燃やされているような感覚に陥る。


すとん、と納得したわけではない。それでも、きっとそのくらいの過去がないと今の川島花蓮は出来上がらなかったのだろうということはわかる。



彼女の人生は、どんなにか悲惨なものだったのだろう…。



「でも…。」



…そのことがどうして光につながるのだろう…?



「ねえ…天馬の職業知ってる?」


鈴葉さんの瞳には底知れぬ悲しみと怒りが湧き上がっていた。

人でも殺せるくらいの冷徹な眼差しは、姉妹共々共通しているようだった。




























「不幸商売よ。」

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