Darkest White

ガクン、ガクンと頭がもぎ取れてしまいそうだ。

これが毎朝の恒例な出来事。

だけどこんなコンビニの店員のバイトにも、小さな楽しみはある。


タラララタタ、タララララタ♫


自動ドアが開く音がする。

眠りかけていた頭をはっと持ち上げて、少し裏返った声で、

「い、らっしゃいませー!」

と声をはりあげる。

今日最初の仕事での第一声。


朝の4時5分。


黒いコートに似合う、キラリと光るよく磨かれた先のとがった靴。

すらっとした長身の体で、自動ドアの下をくぐるように入ってくる。

ジェルで逆立てるように整えられた闇色の髪。

コートの奥に垣間見える真っ赤なシャツ。

異様な雰囲気を漂わせながら商品を手に取ると、まるで何かを見据えるようにわたしに歩み寄ってくる。
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