Darkest White

ここまできて引き返す気にはなれず、ビクつきながらも一歩廊下に足を踏み出す。


「あ、土足…」


なんてどうでもいいことを考えて気を紛らわすわたしは、完全に狼の縄張りに引きずり込まれた子羊だ。


そう、子羊って大事。


「もうどこなのお。」


歩いても歩いても廊下が続く。


階段の方へ行ってるけどあってるのかな?ていうか、誘拐した割には警備薄いな。


まあ、わたしは警備するほど価値がないってことなのかな。


そう思ったらなぜか寂しくなった。


「広すぎんだけど…まじどこここ。」


なんなんだよ。こんなところ日本に存在するのかな?怖いしなんか肌寒いしお腹すいたし…何時間ここにいたのよもお。


愚痴だらけの脳をなんとか良い方法へ持っていこうと思いながら黒と白のまるでチェスボードのようなカーペットの廊下を歩く。なんか目がチカチカするし…正直言って趣味悪い。


「やっと階段。」


何階まであるんだしこの家。


家?豪邸?マンション?


まあどうでもいいからとにかく出ないと。

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