Darkest White
Night 2
God, did it have to be me
わたしを捉える墨色の瞳は恐ろしく澄んでいる。
ああ、まただ。
羨ましいほど真っ直ぐで、今にも吸い込まれてしまいそうだ。
「何してる」
彼はもう一度、そう聞いた。
別に興味が全くないという表情ではない。
だけど、関心を持っているようにも見えない。
ただ、聞いている。それだけの、そのピクリともしない表情に、わたしはいつも圧倒される。
わたしも彼みたいに強くなりたい。
彼の余裕に満ちたその彫りの深い顔を見ると、いつもそう願わずにはいられない。
自分と彼の天と地のようなその差を思い知らされる。
「おい」
彼の瞳があまりにも深く綺麗で、わたしは一瞬自分の立場を忘れていた。
彼がどこにいるのかもよくわかっていなかった。
だって彼がどこで何をしていようが、気にならないから。
そっちに気をとられる前に、わたしは彼の瞳に捕らえられているのだ。
わたしがやっとの思いで彼の瞳から目をそらすと、黒いソファに座っている彼の姿が初めて目に写り込んできた。
広いリビングのような場所に、これまたどでかい大きな革のソファ。その上にでdevilは、別に偉そうでもなく、ごく普通に座っている。
黒い革ジャンのようのものに普通の黒のジーンズ。
なのになぜ、こんなにも威圧を感じるのだろうか。
心の中で呼ぶ彼のあだ名はdevil。あの日の乱闘を見てからの彼のニックネーム。
別に悪い意味じゃない。ただ、angelじゃないから、devil。
それだけのこと。