Darkest White
devilはめんどくさくなったのかそれ以上何も言わずに背を向けた。
そしてそれと入れ替わるようにリビングの奥の部屋から中島さんが現れた。
「ごめんねー!凛ちゃんがかわいいから、つい、からいたくなっちゃった。」
てへっと悪びれる様子もなく首をかしげる中島さんこそ本当の悪魔だ。
「も、ひどいじゃないですか!!!本当にびっくりしたんですから!!!」
「ごめん、ごめん。」
「しかも同じ家の人で、『中島?ああ。』ってどんな同居人ですか!?」
「ああー、中島類ってのは偽名だから。」
「えっ?」
「本名は、柊岬(ひいらぎみさき)。」
「な、なんですかそれ!もう…わけわかんない。」
げんなりとしたわたしを見てくくって笑う柊さん。
「刺客がいなくなったら家送るから、ね?怖がらないでね。」
もう充分恐怖です、柊さん…。
「あー、あと、」
ぐっと距離を縮めてきた柊さんにびくっとしながらも、柊さんの低いささやき声に耳を傾ける。
「あいつ、怒らせないほうがいいよ。」
「え…?」
「怒ると、人を殺しかねないからね。」
そう言ってニコッと笑う柊さんに、汗がまた、たらっと額を流れた。
「ま、心配しないでね。あいつ、助けてやった人は大体その日中に返すから。」