Darkest White
「わたし…何に巻き込まれちゃったんですか。」
震える声で尋ねる自分がどこか遠くにいるような気がする。
「知らないほうが身のため。」
「……。」
「うーん…まああえて言うなら、国の裏社会、かな。」
国…。
「とにかく、凛ちゃんは俺らの被害者。これ以上迷惑はかけたくない…ところなんだけど、」
柊さんは眉根を下げた、
「関わっちゃった以上しょうがない。この家のこと、俺のこと、あいつのこと、そして今日起こったこと全て、忘れてくれないかな?」
「…忘れる?」
無理でしょ!
無理でしょ!
無理でしょ!
「うん…これ言われちゃうと、俺らも迷惑なんだよね。それに、凛ちゃんが危ない。だから、忘れて?ね?」
「はい…。」
無理です!
絶対に無理です!
バッチリ記憶に残ります!
「うん!」
柊さんは微笑むとよしっとわたしの頭をポンっと撫でようとしたけど、わたしは慌てて避けた。
「残念だなあ。凛ちゃんとのバイト、楽しかったのに。」
「え?」
「今日でお別れだね、凛ちゃん。」
「はい?」
「だって見られちゃったもん。俺は、もうあそこのバイトには行けない。」
「はあ…。」
柊さんの勢いについて行けないまま返事をすると、彼は腕時計をチェックした。
「うーん、そろそろ刺客も減ってると思うから、いこっか。」
「へ、減ってるって、まだいるってことですよね!」
「でも大丈夫だよ。」
何が!どこの根拠からそう言い切れる!!