Darkest White

「じゃあ、一生の別れね。」


楽しそうにそういう柊さんに若干引きながらも、


「えっと…ありがとうございました。」


そう言うわたしはバカだ…!


絶対にお礼言う側こっちじゃない!!


そう確信していても、笑顔で頭を下げて、車から命からがら飛び降りる。


よし、これで一生会わずに済む。


「記憶リセットね?」


柊さんに笑顔で聞かれ、


「はい!」


と満面の笑みで答える。


そして黒いピカピカの車が去って行くのをめちゃめちゃ微笑みながら見送った。


夕焼け空の下、わたしはだるい体を引きずるように家に帰ると、奥の寝室のふかふかの、青りんごの香りがするベッドに身を放り投げた。


なんという1日だったことか。


制服はしわくちゃだし、睡眠薬のせいでまだ若干頭痛いし、しかも銃撃戦プラス誘拐でメンタル終わってるし…


映画の世界かよ!って突っ込みたくなる。


ひどい1日だ。

最悪な1日だ。


わたしはカレンダーをちらっと見てまたうなだれる。



しかも今日は金曜日。


明日は土曜日だ。



そしてわたしは悪夢だらけの最悪な眠りについた。


だけどなぜか、夢の中に闇色の瞳の男が現れるたびに、わたしの悪夢は幕を閉じた…


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