Darkest White
やっと椅子に腰を下ろした時に、車が家の前に止まる音がした。
コツコツと鳴るハイヒールの音に、楽しげな会話が聞こえてくる。
わたしは唇を湿らすと、大きく深呼吸をした。
大丈夫。
家は埃一つなく綺麗だし、身なりも整えたし、きっと大丈夫。
ドッ、ドッ、ドッと音を立てるのは弱気なわたしの心の声。
「ただいま〜。」
お母さんの高い声が聞こえてくる。
よし。
「おかえりなさい!」
わたしは満面の笑みで二人を迎えに行った。