Darkest White




「いらっしゃいませ〜!」


マスクの中でくぐもった音で反響するのはわたしの明るい元気な声。


きっとお客さんは誰も気に留めてなんていないだろうけれど、それでも張り切ってしまうのはきっとわたしの前向きな性格のせい。


「はい、シャケ弁当一点、天然水二点…」


いつものようにレジの前に立つわたしは、無断で休んだのに、なぜだかバイトがクビになっていなかった。


だけどそれを不思議に思う暇もなく忙しくて、わざわざ聞いてクビになって嫌だから何も言わないことにした。


中島…柊さんは本当にバイトを辞めてしまっていた。


女性陣はイケメンが消えたって悲しがっていたけれど、わたしは逆にホッとしていた。


ああいう感じの人、苦手なんだよね。


今日は、あの男の人は来なかった。


正直、どう接すればいいのかも不安だった。だけどマスクとメガネをかけているから、わたしだとは認識しないはず。


でもあんなことがあった後だし、昨日の銃撃戦が全く話題になっていないこともおかしかったし奇妙だった。


昨日銃撃戦に居合わせたのはわたしと柊さん、そしてあの男だけだったからばれなかったのかな…


って、おかしいよね。


でも裏社会は裏社会。問い詰めても仕方のない話だ。
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