Darkest White
バイト終わり、わたしは公園へ向かいながら、途中にある高校に視線を向けていた。
昼休みなのだろう。生徒が校庭へ出て、グループごとに何かスポーツの練習をしている。
ふわっと風が吹くと、わたしの制服のリボンが小さく揺れた。
胸にこみ上げてきた何かを飲み込んで、わたしはそのまま学校を通り過ぎる。
公園へ着くと、いつものようにパーカーを広げてコンビニで買ってきたジャムパンを口に詰め込んだ。
草地の続く広い公園でただ一人座るわたしは、心の奥で芽生える虚しさをどうにかして封印しようと浅く息を吸った。
どうしてだろう。
なんども昨日のあの男の冷徹な表情が浮かんだ。
何を考えているのかわからないあの人は、一人でいても、寂しくも虚しくも見えなかった。
ただ、そこに居る。
まるで当たり前かのように。
世界が自分中心に動いているみたいに立っているあの人が羨ましかった。
昨日、未知なる世界へ行って、本当に訳のわからない生き方をしている人に会って、自分が何をこんなにくよくよしているのか、バカらしくなった。
銃撃戦が起これば誘拐だって起こる。
なのに自分ときたら…
ため息をついてジャムパンをゴミ箱に捨てに立ち上がる。
全てがバカらしく思えてきた。
自分は一体何に縛られているのだろうか。まるで…水族館の水槽の中の金魚のよう。もがき苦しみ、多少の喜びを感じ、虚しく、何も知らないままその生涯を終える。その、小さな世界で。