Darkest White

「釣りはいらねえよ。」

と、低くかすれた声で言い、

「今日もバイト、お疲れ様。眠んねえでがんばれよ。」

と言い微かに瞳を細める。


そして、


タラララタタ、タララララタ♫


という無機質な音ともに消えてゆく。


どこの誰かも知らないこの男の人が、わたしは好きだ。

恋愛とかそんな淡いものではなく、単純に好きなんだ。

毎朝彼がかけてくれる優しい言葉に胸がじんわりとする。

160円のいちごミルクに毎回200円払ってくれる彼。

だから40円のお小遣い。

実はそれが嬉しかったりもする。
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