Darkest White
この人は何を思ってそんなことを言っているのだろう。
何を思ってわたしを車に運んで、何を思ってわたしを見ているのだろうか。
「……。」
devilは何も答えないわたしに不満を抱くこともなく、何事もなかったように窓の外を見つめる。
寒い…痛い…寂しい…
がたがたと震える体を抑えられなくて、痛みも増しているような気がする。
熱で脳が朦朧としていて、ちゃんと考えることができない。
「暖房いれろ。」
そんな声がどこかで聞こえ、何かに包まれたような気がする。
だけど頭が痛くて背中が悲鳴をあげていて何もわからない。
怖い…怖い…
怖い…
だけど、いくら恐怖に襲われても、ずっと涙は出てこない。
きっと枯れてしまったのだろう。それがわたしにとって一番辛かった。
「痛えか。」
ぼんやりとした意識の中そう尋ねられた。
「どこが痛え?」
ごつごつと骨ばった手がわたしの額に触れる。
「っ…うっ…」
熱にうなされたように力のない声が出る。
「すぐ医者が来る。」
激痛の中をさまよい歩いていても、その声だけははっきりと耳に届いた。
「っ、ダメっ!!!」
ヒューっと息を吸って、枯れた声で尚も叫ぶ、
「ダメっ!!!」