Darkest White
……ーー

悪夢にうなされながら次に目が覚めた時、自分が何かふかふかしたものに包まれていることに気づいた。


「医者が来たらしい。」


そう低い声でつぶやいた先に視線を向ければ、隣にある革の椅子にどっかりと腰を下ろしているdevilがいた。

どうやら自分はベッドに寝かされているようだ…

さっきよりも少しだけ痛みが引いている。


「…痛み止めが効いたか。」


わたしの表情を見てか、それともただ単に気になったのか、devilはすっと流し目を向けた。


「…は…い」

「まあ、一時的なもんだけどな。」


devilはそのあとはずっと黙っていたし、話しかけるな、と態度で表していたから、わたしは痛みに歯を食いしばりながら目をつむっていた。


どうしてここまでしてくれるのか。

どうして自分はここにいるのか。


わからない。


数十分後、医師にしては若い男性がノックをして入ってきた。

「こいつを治せ。」

ずいぶんと上から目線な発言をするdevilをチラ見しながら、わたしはもう一度意識を医師に向ける。

色素の薄い茶色い髪を後ろで束ね、なんだかチャラそうに見える。


「うわあ…どしたの、君。」


口調も軽い。


「知らねえ。」


devilがつまらなそうに返す。


「死ぬ前に治しとけ。」

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