Darkest White
浅く息を吸う。
光がふっと一歩近づいてきた。
わたしの上に大きな影が作られる。
「ちっちぇえな、お前。」
何を思ったのか、光が少しだけ切なそうに笑った。
「怪我、治ったか?」
どうして…どうしてあなたがここにいるの…?
どうして…あなたが、わたしの心配をしてくれているの…?
どうしてっ…どうして…っ!
「……。」
わたしの声はきっと誰かに盗まれた。
わたしに声は必要ないから。
偽りの言葉しか述べられない自分に、しゃべる術はもったいんだ。
「熱は、もう出ないか…?」
「……。」
何も言えない。
何も出てこない。
ただ、切なくて、虚しくて、苦しかった。
「頭痛はまだするか?」
「…。」
まだするよ。
心が痛い時、頭もガンガン痛くなるんだ。
「体の痺れはおさまったか?」
「……。」
少しは治ったよ。
まだ、痺れるけど、少し。