Darkest White

ポストを開けると、毎年のことのように手紙が入っている。

指先が震えて、喉が痛くて、どうしてもその封筒をきることができない。


「っ…ごめんなさいっ…。」


そう謝るのは、ただの『責任逃れ』。

罪悪感がのしかかり、息がうまく吸えているのかもわからない。


頭痛と耳鳴りで倒れそうになりながらも、学歴を物語る、綺麗な文字を追っている自分がいる。

これも毎年のこと。


『凛ちゃんへ、

お誕生日おめでとう!

体調は大丈夫かな?今年も一緒にお祝いできなくて、寂しいな。

だけど修学旅行だから仕方ないよね。

凛ちゃんと出会って、もう十年が経つのか…。

あっという間だったね。

初めて凛ちゃんに出会ったのは、凛ちゃんがまだ小学二年生の時だったね。まだ小さくて、すごく可愛かったよ。

お母さんは、元気かな?お母さんはいつもお仕事が忙しくて大変だろうから、たまにはお皿洗いとか、手伝ってあげてね。

凛ちゃんがいつだってお母さん思いなのは僕が一番よく知ってるよ。

凛ちゃんはもう高校三年生で、何が欲しいのかも、おじさんな僕にはわからない。だから、今度会った時、一緒にお買い物に行こうね。

将来は、きっと、絶対に凛ちゃんのお父さんになるから、それまで待っててね!

凛ちゃんが大好きだよ。

これからも頑張ってね!応援してます!


笹原茂』
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