忘れられない季節でもう一度


「だっていつも私ばっかり翻弄されているから」



ごめんね、と言うように今度は私からあきの手をとる



「翻弄されてるのは僕の方だよ」



そう呟いたあきの小さな声は聞こえないふりをしてこの男の手を引き、再び歩き出した。



「もうすぐあきの誕生日ね」



私は息が白くなるのを楽しむように話し出す




「そうしたらかよの誕生日ももうすぐということになるよ」



そうね。と呟き、快晴とも曇り空とも言えぬ冬独特の空模様を見上げる



冬は私とあきが産まれた季節。



同じ季節、同じ日付、同じ病院で私たち2人はこの世に生を受けた。



1998年12月28日生まれの國林 彰彦(くにばやし あきひこ)。そして同じく1998年12月28日生まれの長塚 香代子(ながつか かよこ)




それが私たちの名前だ。

























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