忘れられない季節でもう一度
その時、ヒュッと少し強めの風が一瞬吹いた

その風が思いの外冷たくて顔をそらしたら隣の男が心配そうに空いてる手で私の頬に触れてきた

「寒い?」



そう私に尋ねながら少し目を細め、いつものように私の頬を軽く撫でてくる



「あきの手の方がもっと寒い」


そう言って繋いでた手を解いて私の頬に触れていた手を掴む


そうしたら薄く整った唇を少し上げ


「かよ暑苦しいの嫌いだから俺の体温、低くなるように調節してるんだよ」

嘘だか本当だからわからない声音で面白そうにそう囁くこの男にくすりと笑う。


その態度に満足したのか微笑を浮かべたまま今度は胸下まである私の長い髪に指を通してきた


「静電気たつからやめて」


そう言ってこの男の私の髪に触れている手をに触れた

「さらさらで綺麗だったから」

そう言って名残惜しそうにもう一度私の髪を撫で、手を引く


「あきの方が綺麗よ」


そう言って今度はわたしからあきの頬に触れる。身長差があるから頭までは手が届かない
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