忘れられない季節でもう一度
それがあきの手だと少し遅れて認識し、あまりの冷たさに驚いて彼の顔を見ると悲しそうとも、不安げともとれるあきの顔があった
「かよは僕と一緒にいるの飽きた?」
少しあきの声が震えたように感じるのはさっきと同じように吹いた北風のせいだと思う。
あきの手と北風の冷たさに少し震え、自分よりはるかに大きくて誰もが振り返る美青年を少なからず振り回している自分に優越感を感じている私がどこかにいる。
あきに対しての感情は恋愛感情かといわれたらはっきりとはわからないけどあきは私にとってなくてはならない男の子。
それは今も昔も変わらない。
もしかしたら自分自身より大切と思っているかもしれない
あきがもとめるならなんでもかなえてあげたいし、与えたい。
少し目線をあげ、もう一度あきと目を合わせ私の頬からこの男の手を降ろさせて今度はわたしがあきの両手を温めるように包み込む。
「飽きるわけないじゃない」
不安にさせてごめんね、というように優しく微笑む
その途端、あきの広い胸に包まれて強く抱きしめられた。
「ごめん、少しだけ」
耳元で甘く掠れた声であきが囁く。
大事よあき。あなたが一番大事。
この男の甘い香りを感じながら私からも彼の背中に手を回す。
「なんだかシタくなっちゃうわね」
からかうようにあきの耳に唇を寄せて笑う
あきは、はぁと悩ましげなため息をつき私の腰を引きつけ更にきつく抱きしめて首筋に唇を寄せてきた
手は冷たいくせに唇は熱い。