お稲荷様のお呼びです! クリスマス超短編
そーっと庭へと続く扉を開いた手で開けて、積もりはじめた雪の中でひょっこりと顔を出す大きな敷石の上へと置く。
「あ」
元々バランスの悪いこともあったせいか、頭の雪玉が落ちてしまった。
慌ててその雪玉を拾おうとするけれど、雪だるまの体となる雪玉から何かが触れた。
ま、まさか……変なものじゃないよね??
恐る恐る持っている雪玉へと目をやる。
だけど、思っていた恐怖は一瞬にして消えていく。
「き、綺麗……」
そこにあったのは、何か怪しいものでもなく、ゲテモノでもなかった。
不思議なことにゆっくりと雪玉が溶けていくというのに、水がダラダラと滴ることはなく白い煙のように私の指の間から逃げていく。
雪が溶け切り、掌に残ったのは色鮮やかに咲く見たこともない一輪の花の結晶だった。