男装女子。FIRST SEASON
碧「…こんくらいかな。」
『あっという間に終わった。』
碧「じゃあ帰ろうか。」
『ウン!』
碧「ハイ。」
『…この手は何かな。』
碧「…ハイ。」
『…繋げばいーんだろ、繋げば。』
碧「そうそう。じゃ、帰ろう。仲間の元に。」
『うん!!』
羽咲と碧は元々親戚で、幼馴染だった。
恋人になったのは中学二年生。
碧から告白したらしい。
羽咲曰く、何ヶ月かずーっと断ってたけど毎日のように家に来て告白するわ、大衆の目の前で告白するわで、相当しつこかったらしい。
でも付き合うってことになったのは
羽咲の両親の命日の日だった。
丁度その日は雨で、雷も鳴ってて
ずっと体調悪かった。悪い夢も見てたらしく、あまり睡眠も取れなかったらしい。
それを献身的に支えてたのが碧だった。
『…いやー、感謝してるよ、本当に。』
碧「いきなり何だー?」
『…碧がいなかったら、今ここにいないし。リーダーやってないし。…そもそも生きてるかどうかもわかんないもん。』
碧「……。」
『…ホント、ありがとうね。』
碧「…羽咲。」
『…ん?』
碧「辛いことは辛いって言うんだよ。」
『…大丈夫だよ。…私は強いから。』
碧「…じゃあ俺の前だけは弱い羽咲でいて?」
『え…?』
碧「強がってる羽咲じゃなくて、ありのままの羽咲でいてってこと。。」
『…分かった。』
碧「約束だよー?」
『はーい。』
碧「…ついでにデートの約束もしていい?」
『奢ってくれるなら構わない!!』
碧「じゃあ決定☆ウサギ、何したい?」
『えー?…んー…映画とか?』
碧「それもいーねー!あ、じゃあさ…」
灯「ああああああ!!いた!!見つけた!!やっと見つけた!!羽咲!!碧!!!」
祐「お前らー!俺が絞られてる間に何やってたんだよー!!!」
遼「…やっと帰ったか。…碧、後で相談がある。」
碧「了解。」
陸「…碧、ゲーム…返して…。」
碧「あ、あれね。ウン、わかった。ちゃんと明日持ってくる☆」
陸「…家まで尾行しないとダメだな…。」
灯「デート!!アンタらデートか!羨ましい!!リア充爆発しろ!!」
『その前に男嫌いを何とかしないとね。』
灯「違うの、私が嫌いなのはチャラチャラしてる男なの。」
祐「いや真面目なやつも無理だろー!何か頭良すぎて何言ってるかわかんねーし!」
灯「ゴメン、あとバカも無理だわ。」
『それは同意。』
祐「え?!何が!!?」
碧「そんじゃ、ウサギ。後でミーティングな。」
『了解、副リーダー。』
この時は全員で六人。
羽咲が《ALICE》のリーダー。
碧が副リーダー。
俺と灯と祐と陸は幹部生だった。
こんなににぎやかで、面白くて、楽しかったこの場所が
あんな形で崩れるとは、この時の俺達には思ってもみなかった。