男装女子。FIRST SEASON
『なん…で…ねえお父さん…?…お母さん…?』
「大丈夫、まだそいつらは生きてるよ。」
『!?』
「…おはよう、有栖川羽咲さん。」
『…ッ誰…!?』
「ふふ、あはは。…やーっと、手に入れられた。」
『…?』
顔はフードで隠れていてよく見えない。
けど、何かがおかしい。
『貴方は、誰…?』
震える声で、話す。
「僕…?…僕はね、君のことが大好きで大好きでたまらない人、だよ?」
『…意味、わかんない。』
「…ねーえ、有栖川羽咲さん。…君はね、僕と一緒だよ。」
『は…?』
「僕達は運命共同体なんだ。」
『いや、意味わからんし…。』
「…ああ、そっか。まだ“何も”知らないんだもんね、君は。」
『……。』
「…僕達は特別な存在なんだよ。僕を見て分からない?…まあ分からないよね。でも君は特別な存在だから、きっと分かってくれるよね。」
『…よく、わかんないけどさ、家に返してよ。』
「残念だけど、君はもう家に帰れないよ。」
『え…?』
「…だって、君は、もう僕のモノだから。」
背筋が凍った。
かつてない恐怖に支配されそうになった。
『…帰して、帰してよ…!!嫌…嫌だ…!』
「煩いなぁ…君なら分かってくれるって信じてるんだけどなぁ…?」