男装女子。FIRST SEASON
『そんなの知らない!聞いたことない!見知らぬ人になんか言われたくない!…ッお父さん!お母さん!目を開けて!!』
「……君なら、」
『お父さん!!お母さん!!』
「…どうして、分かってくれないの。」
『特別なんかじゃない!私は…!』
バンッバンッバンッ
「…喚いたらコイツらを殺すけど、いい?」
『…ッ』
「…ねえ、羽咲。君は特別な人間なんだ。…君はどうして周りと違うのか、どうしてこんなに無能な奴らばっかなのか、考えたことはない…?あるよね…あるよね?」
『な…いよ…!』
「あるよ!!僕はそうだった!!どうして僕に出来ることがお前らには出来ないんた!!世の中無能なクズばっか!!」
『ッ…』
「…僕はね、君を見かけた時にピンっときてしまった。…君も僕と同じなのだと。」
『ッ勝手に一緒にしないでよ…!』
「どうして?どうしてそんなこと思うの?だってみんな僕らより劣ってるんだよ?」
幼い子供の、純粋な質問。
そういう風に聞こえた。
「…僕はね、君が可哀想だと思ったからここにら連れてきたんだ。…だってこれ以上あんな腐った世の中なんて、見る価値無いでしょ?」
『何、言って…』
「…君の両親も、普通。…ただの人。魅力もない。何も無い!!…お前らのそばにいたら有栖川羽咲がそこら辺の奴らと同等になってしまう。…だから僕と、一緒にここにいようよ。」
『…私はお父さんとお母さんと一緒にいる。貴方なんて知らないし、一緒にいる義務は無い!』
「…ッどうして…?どうして分かってくれないの?」
何分か沈黙が降り、ふと、気付いたように顔を上げた。
「…ああ、どうして、こんなことを言うか、分かったよ。」
チャキ
『…!!』
「全部コイツらのせいだ。」
『ッ何、言って…』
「洗脳されちゃったんだね、羽咲は。だから分かってくれないんだ。」
『止めて!!!!!』
「きっと、この人達が死んでくれれば、目が覚めるよ、羽咲。」
ガチャッ
「「「「悠真!!雪羽!!!」」」」
バンッバンッバンッ
拳銃で打った弾は当たって、お父さんとお母さんの小さな叫びが聞こえた、気がした。
『…〜〜ッ!!!!!』
血しぶきが、私にかかる。
そこからは覚えていない。