男装女子。FIRST SEASON
『…気晴らしに散歩でも行くか。』
多分、体が訛ってるだろーし。
『っ…っは…っは…。』
軽くジョギング。
今の時間帯は…平日の昼。
ちらほらと人がいる。
『…今日は、ちょっと、戻ろうかな。』
あの日常の場所に。
走りながら、程遠い日常だった場所を回る。
『あー…そーいやここのゲーセンで碧と対決したっけな…』
『…っうわ、新作ケーキ出てるよ…嘘だろまっじか…買いに行こ。』
『…あ、碧と初めてデートした場所だ。』
『あ、ここはみんなと花火したところだ。』
『…あー、ここも…』
たくさんの思い出が蘇った。
碧と《ALICE》のみんなと過ごした日々。
ああ、懐かしい。
『…っは…ホント…懐かしいや…っ…』
自然と、涙が零れた。
『…ッグスッ…はー…戻りたいなぁ…会いたいなぁ…っ…』
「っ羽、咲…?」
『ッ…え…?何で、ここに…何で、叔父さんが…。』
驚いたような、泣きそうな表情をした、秋さんがいた。
秋「…お…お前……ッホントに…」
『っ…』
私は走って逃げようとした。
秋「ッオイ待て…!!」
ガシッ
秋「ホントに、羽咲なんだな…?」
『…チガイ、マス。』
秋「嘘つけ。…こんな格好してもバレバレだ、バカ。」
『…っ…何で…』
秋「…羽咲?」
『…どうして、探すの?私を…。』
秋「お前が大切だから。それ以外に理由があるか。」
『…私はっ…碧を死なせちゃったんだよ…。』
秋「…お前が無事なら、いい。」
『良くない!!全然良くない!!何で、何でみんな私を庇うの!?何でみんな、死んじゃうの…っ…』
秋「…それはな、羽咲。…みんな、お前が大好きだからだ。」
『…私もみんなが大好き。だから、私のために死んで欲しくなかった。ちゃんと生きてて欲しかった。』
秋「…なあ、羽咲。…もし俺が捕まったらどうする?」
『助ける。命に変えても、絶対。』
秋「だろ?…それと同じだ、羽咲。」
『…え…?』