男装女子。FIRST SEASON





隼「…何か約束でもしたのか?」


『いや…。』


ピコン


“忘れちゃった?”


ピコン


“あの日の夜も、満月だったよね。”


『…満月…?』


ピコン


“久しぶりに強い女の子に会えて、僕は本当に嬉しかったんだ。”


ピコン


“強くて、キレイで、暗くて、黒い過去も見えた君に僕は、一目惚れした。”


『…ッ…。』


どこかで聞いた、台詞。


ピコン


“僕と同じ。僕と君は似てるって思ったんだ。”


ピコン


“だから、”


ピコン


“君を、”


ピコン


“独り占め出来たらなぁって、思ったよ。”


パリンッ


『「ッ!?」』


窓ガラスが割れた音が、遠くでした。


『ッ隼…!』


隼「…分かってる。…俺から離れるなよ。」


『わかった。』


隼と私は音のした方へと向かった。


リビングには何も無い。だとしたら…


隼「…寝室、か。」


『…かもね。』


ガチャ


寝室のドアを開けた。


するとそこには、


割れたガラスと、一枚の手紙があった。


『…これ爆弾とか仕掛けられてないかな。』


隼「…大丈夫だろ。……多分。」


『…いざとなったら一緒に死のうね。』


隼「真っ平御免。」


ダヨネー。


カサッ…


『……。』


隼「…なんて書いてあるんだ?」


『…狂気じみた愛の言葉…かな。』


隼「それは…。」


『十中八九、彼からの手紙だよ。』


隼「…ここにこの手紙があるってことは、向こうにとってはもう居場所を知っているということか。」


『…ここは危険かもしれない。』


隼「…黙って、隠れるつもりじゃねぇだろうな?」


『…本当はそうしたい。けど、何となく、一人でいちゃダメな気がする。…彼らに伝えて。一人で出歩くなって。』


隼「…ああ、分かった。」











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