男装女子。FIRST SEASON




ガラッ



出雲のバルコニー。その隣は私の部屋。



『…隠し部屋バレてないといいんだけど。』



それが一番重要なコト。



『……。』



気配を殺して、忍び寄る。



ストンッ



うあ…痛い。涙出てきた…。



…か、鍵は…空いてる。



利き手が左手だから、ついつい左手で開けてしまう。



ズキッ



『…ッ』



…部屋に誰もいないことを確認。



ガラガラガラ



音を立てないように…走るッ!!!



…よし。OKOK。扉は特に開かれた様子は無い。



一応中にも入ろう。



キキ…。



一つ目の扉を開けて閉めたらもう大丈夫。



『フー…。』



よし、急いで取り付けた超超小型防犯カメラの様子を見ないと。



ギギィ…。



『…えっ』



「………。」



『…バタンッ』



…これは間違えだ。ウン、この人が知るわけない。ウン。



ギギィ…



『ッなんで!!!!』



隼「なんだ。いちゃ悪いか。」



『悪いですゥ!!!!』



隼「……これはどういうことだ。なんだ、この画面の多さは。」



『…え、えーと…。』



まさか防犯カメラ見る為ですとか人の個人情報をハッキングする為ですとか言えない。



隼「……。」



『…か、隠してた訳じゃない…けど…。ッてかなんで隼がここにいるの?!』



隼「……開いてた。」



『…そんな訳ない。俺ちゃんと閉めてから出てったし…。』



隼「どこに。」



『え?繁華が……い…。』



やべ、乗せられた。



『ととととっとにかく!!…出てって!!ここにはもう一生来ないで!!』



グイグイ



隼の背中を押して扉の外に出させる。



隼「…天。」



『…ッ』



私の名前じゃない、私を呼んだ。



隼「…天。お前は…。」



『いいから、早く出てって。もう俺の部屋には近付かないで。…お願い。』



隼「……。」



少し、悲しそうな表情になった。



バタンッ



隼は部屋からいなくなった。




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