男装女子。FIRST SEASON
その後はみんなバラバラ。
年長組はお風呂。
年中組と年少組はゲームやトランプ。
ただし夜と零は速攻寝に行った。
私も部屋に行った。
『…突然の訪問だったけど充実し過ぎた。』
みんな知ってる?まだ一日しか経ってないからね??
『…外真っ暗…森に囲まれてるから光すら無い。』
豪邸な上に豪華な食事。
広い部屋に広いベッド。
一人だと少し寂しい。
独りだって思っちゃう。
思いたくないけど、思っちゃう。
いつの間にか私は寝ていた。
《…周りから見放されて、可哀想だね。》
ッ何…?
私は暗闇の中にいた。
《可哀想、独りぼっちだね。昔と同じだ。》
そんな事ない。
今、私の周りには12人の仲間がいる。
昔の私とは違う。
過去の自分は、もう捨てた。
《分かってないな。お前は独りだよ。》
何を根拠に。
私は独りじゃない。
《そう思い込んでいるだけだよ。本当は、独りだ。》
違う、そんな事ない
力の無かったあの時とは違う。
私は、独りじゃない…!
《嘘つきな人間より、僕と一生ずっといようね。…逃げないよね、だって君は僕から離れられないんだから。》
ッ…やめ…ッ
手が自分に向かって伸びる。
嫌。嫌なのに…嫌なのに足が動かない。見ると足に鎖が繋がっていた。
逃げなきゃ…衝動に駆られる。
…逃げなきゃ…ッ
「羽咲。」
「羽咲?」
…ッ
ガバッ
隼「…オイ、大丈夫か。」
出雲「羽咲、大丈夫…?どうかした…?」
『はっ…はっ…はっ…』
出雲「…羽咲…?」
『ダメ…来ないで…手が…足に…鎖が…嫌…ッ』
隼「羽咲。大丈夫だ。落ち着け。」
出雲「大丈夫だよ。羽咲。」
『嫌…嫌…来ないで…追ってくる…ッ』
隼「羽咲…。」
隼の手が私の手を握る。
『ビクッ…。』
隼「…大丈夫。大丈夫だ…。」
『…は…はっ…はっ…』
出雲「…落ち着いて…ほら、落ち着いて息を吸って…吐いて…。」
『…はっ……は……は…。』