ルーンの姫君《連載》
「あれから、私はあなたの事が気がかりで翌年もシザーレを訪れたのですよ」


だが、そもそも修道院は閉ざされた場所。

まして私は幽閉の身であり、接触が許されなかったのは当然のことだ。

だが、幸運にも村はずれで偶然外出から戻るミアンと会うことが出来た。


いつも私が懐かしんでいた旅人との再開に喜んだミアンは、この世で自分以外に主人を気にかける人が出来たことを喜び、会わせることは出来ないが定期的に近況を知らせることを引き受けた。


そして、先だってミアンの王への謁見を不安に思う手紙を受け取ったゼルは、今こそ籠の鳥を逃がす時だと決意して彼女の前に現れたのだと言う。




「私は、さる国の魔術師です。
獣の姿になることは造作もないこと。
そしてあなたをここから連れ出すことも容易です。

どうしますか?

私の腕をとり、今こそ籠から飛び立たれますか?」



この言葉を聴いた時、私の心は決まっていた。
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