ルーンの姫君《連載》
かすかに甘い蜜のような味の湯が気管にも入ってしまい咳いていると、
いつの間にかゼルが浴槽の淵から身を乗り出して私を見ていた。

「お願い、見ないでください」


確かめなくてもわかる。私の全身はこのラベンダーの湯の洗礼を受け、全てが湯を含みぬらぬらと服に張り付き、はしたない姿を露わにしているからだ。


消え入りたい私の心とは裏腹に、たわわな双球は喜んで存在を示し、今まで誰の目に触れたことのない足の奥のものまで壁に並ぶ松明の明かりを浴びてわなないている。

私はどうすることもできず、ただ彼の視線をその姿で受け止めるしかなかった。


無言の視線にさらされて、私の身体は湯の色を通してまでわかるほどに羞恥で赤く染まり、鼓動ははやがねのように打っていた。

そこでふと、身体の異変に気付いた。
身体の芯から何かもどかしさと熱さが湧きあがる。そして、湯壷に流れ込む湯が起こす波紋、湯の中のうねりが肌を刺激し、その度に荒い息を吐いた。
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